こんにちは。寺野歯科医院です。
先日より当院では舌圧計(ぜつあつけい)を導入し、日々の診療に役立てています。
舌圧計とは読んで字の如し舌の圧、べろの力の強さを測る機械です。
普段はあまり意識することのない舌ですが、実は我々の生活に大きく関わっており、食べ物の味を感じるのは
もちろん、発声や発音、そして重要なのは嚥下(えんげ)という飲み込む動作に大きく関わっていることです。
嚥下を行うまでにはいくつかのプロセスがあり、その中でも食べ物をノドに送り込む動作が特に重要です。
舌の力が弱ければ食べ物を一塊にして送り込む機能が低下し、結果的に飲み込みの効率が悪くなってしまいます。
飲み込みが悪ければ食事時にむせが生じ、特に高齢者の場合、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高くなることが
わかっています。
これまでは舌の力を客観的に数値化する器具はありませんでしたが、つい最近に国より認可を受け、導入されたのが
この舌圧計です。
一般的に20KPa以下であれば舌圧が低く、嚥下に支障が出ると言われています。
その場合には、器具を用いた舌のトレーニングや家庭でも出来る舌の体操を行い、機能の向上と低下予防をはかります。
また、20KPa以下でなくとも、それに近い数値であれば、舌のトレーニングを行い、介護予防に役立てることができます。
実際にトレーニングを行うと、嚥下機能の向上だけでなく、口腔乾燥の改善や舌苔の減少が起こることもわかっており、
患者さんの日々の 「日常生活の質」 というものが向上します。
昨今、超高齢化社会という言葉が多く使われています。しかし、寝たきりで過ごす時間と健康で自分の意思で行動できる時間
とでは大きな差があります。大切なことはいかに「健康寿命を延ばせるか」ということです。
この舌圧計が一人でも多くの患者さんの健康寿命が永らえることに貢献できればという想いで、これからも日々の診療に
役立てていきたいと思います。